モータをスイッチで制御する場合,図1の(a)か(b)の形となる.ちなみに(a)および(b)において,左が回路図,右が電池を想定した例である.図をみて分かるように,スイッチをオンにするとモータが動き,オフにするとモータが止まるものである.(a)と(b)の違いはモータの前にスイッチがあるか後にスイッチがあるかの違いである.この場合,両者に違いはない.
モータの制御を考えると,PC・マイコンの出力ポートをモータにつなぎ,直接ON/OFFを行うのが一番簡単である.つまり,PC・マイコンにスイッチになってもらう方法である.ただし,一般的にはPC・マイコンの出力ポートを直接モータ等に繋げることはしない.
その理由は,「電気の使い方」が違うからである.モータを駆動させるためには電力としての電流が必要であり,電力の量(特に電流の量)が行う仕事量となる.一方,モータの動きを制御するPC・マイコンなどは演算を行う機械であり,信号レベルの電流を扱う.演算結果は電力には必ずしも比例せず,特に速さは電圧・電流が少なければ少ないほど早い傾向にある.このように一般的には,電力としての電流は大電流が必要であり,信号としての電流は流れなければ流れないほどよい.そのため,PC・マイコンの出力ポートも信号としては5V(1,High),0V(0,Low)などを出力できるが,実際に5V駆動のモータを動かすだけの電流を出力できないことが多い.
そこで,PC・マイコンからの出力信号をもとに大電流を制御する部分が必要となってくる.このスイッチの役割を果たす部分としては以下のものがある.
ここでは主にFETに注目する.FETによって,信号レベルの入力に応じて大電流のON/OFF制御を実現することができる.
詳しくは FET を参考のこと.
FETは(ソースを基準として)ゲートにかけた電圧でドレイン・ソース間の電流を制御する.ゲートにかけた電圧はゲートに電荷として溜まり,制御するための電圧となる.その電圧を生むためのゲート・ソース間電流およびドレイン・ソース間の電流を生むものとして,電荷の「キャリア」を考える.すると電荷の「キャリア」としては「正孔」と「電子」が考えられる.正孔をキャリアとするFETと電子をキャリアとするFETを考えることができ,それぞれp型FET,n型FET(名称ちょっと適当)と名づけることができる.
p型FETは正孔をキャリアとするので,ソースからドレインに電流がながれるFETである.また,ソースからゲートに向けて正孔が移動するので,ゲートの方が電位が低くなる.よって,ソースの電位を基準に考えた場合に,ゲート・ソース間電圧が0Vの時スイッチはOFF,ゲート・ソース間電圧が-Vgs(-5Vとか)Vの時スイッチがONとなる.
n型FETはその反対で,ドレインからソースへ電流が流れ,ゲート・ソース間電圧がVgs(+5Vとか)Vの時にスイッチがONとなる.
最も基本的な回路は以下となる.
- R1はゲートに過度な電流が流れないように制限するものである.
- R2は挙動の安定を図るものである.ゲートが接続されていなかったりすると静電気等で電荷を持つ場合がある.この場合,半ON状態になり動作が安定しない.また,信号先がマイコンなどで小電流しか扱えない場合,電圧を変更してもゲートから電荷が素早く移動しない.このとき,電荷の道となるためのもの.
スイッチとして使う場合にはFET自身が抵抗となってはいけない.そこで,スイッチがオンの時に電流が流れるだけ流れる,という特性が望ましい.そこでスイッチとして用いる場合,Vgsを高く設定し,オーム抵抗領域で使用する.
- 2SJ334の場合には,Vgs=6V以上
- データシートより -20 < Vgs< 20
とりあえず 5kΩ
とりあえず 20kΩくらいで