FETの正式名称はField effect transistor(電解トランジスタ)であり,トランジスタの一種である.トランジスタは回路を流れる電流を制御する部品であり,台所で身近に使用する水道に例えることができる.
水道は蛇口によって水道管(の蛇口の前後の2点間)の水量を制御することができる(後々,図を挿入).ここで水量がトランジスタで制御対象となる電流に例えられ,蛇口が制御信号に例えられる.FETでは,電圧を制御信号として扱うので,制御端子(ゲート)にかかる電圧によって2点間(ソースとドレイン)の電流の量を制御することができる.
- FETは電圧-電流制御
より具体的には,ゲートに電荷をため(等価:コンデンサ),その電荷の量によって電流を制御する.そのため電荷をためる/放出するためだけの電荷の移動がゲートに流れる電流であり,(バイポーラトランジスタに比べて)制御用のゲート電流はいらない.
利用方法は多岐にわたるが,代表的なものとしては次のものとなる.
スイッチ
蛇口の開閉によって水を出したりとめたりすることを考えると,蛇口を”スイッチ”として考えることができる.このように,電流を流す/流さない,に注目するとスイッチの役割を果たす.
増幅器
蛇口の開け方によって水流が変わることを考えると,蛇口を開ける力(入力)を水流の力(出力)に変換していると見ることが出来る.一般に入力 ≦ 出力であり,小さな力で大きな力を制御する使用方法となる.
可変抵抗
蛇口の開け方によって水流が変わる,ということは,蛇口の開け方によって水がうける抵抗を変えていることになる.回路の場合,信号によって電流の流れる量を制御できる,ということは,信号によって電流が受ける抵抗を変えていることとみなすことができ,外部から見るとトランジスタが信号によって抵抗を変えることの出来る可変抵抗とみなすことができる.
FETは(ソースを基準として)ゲートにかけた電圧でドレイン・ソース間の電流を制御する.ゲートにかけた電圧はゲートに電荷として溜まり,制御するための電圧となる.その電圧を生むためのゲート・ソース間電流およびドレイン・ソース間の電流を生むものとして,電荷の「キャリア」を考える.すると電荷の「キャリア」としては「正孔」と「電子」が考えられる.正孔をキャリアとするFETと電子をキャリアとするFETを考えることができ,それぞれp型FET,n型FET(名称ちょっと適当)と名づけることができる.
p型FETは正孔をキャリアとするので,ソースからドレインに電流がながれるFETである.また,ソースからゲートに向けて正孔が移動するので,ゲートの方が電位が低くなる.よって,ソースの電位を基準に考えた場合に,ゲート・ソース間電圧が0Vの時スイッチはOFF,ゲート・ソース間電圧が-Vgs(-5Vとか)Vの時スイッチがONとなる.
n型FETはその反対で,ドレインからソースへ電流が流れ,ゲート・ソース間電圧がVgs(+5Vとか)Vの時にスイッチがONとなる.