FET

はじめに

FETって何?

FETの正式名称はField effect transistor(電解トランジスタ)であり,トランジスタの一種である.トランジスタは回路を流れる電流を制御する部品であり,台所で身近に使用する水道に例えることができる.

水道は蛇口によって水道管(の蛇口の前後の2点間)の水量を制御することができる(後々,図を挿入).ここで水量がトランジスタで制御対象となる電流に例えられ,蛇口が制御信号に例えられる.FETでは,電圧を制御信号として扱うので,制御端子(ゲート)にかかる電圧によって2点間(ソースとドレイン)の電流の量を制御することができる.

  • FETは電圧-電流制御

より具体的には,ゲートに電荷をため(等価:コンデンサ),その電荷の量によって電流を制御する.そのため電荷をためる/放出するためだけの電荷の移動がゲートに流れる電流であり,(バイポーラトランジスタに比べて)制御用のゲート電流はいらない.

FETの利用方法

利用方法は多岐にわたるが,代表的なものとしては次のものとなる.

  • スイッチ

    蛇口の開閉によって水を出したりとめたりすることを考えると,蛇口を”スイッチ”として考えることができる.このように,電流を流す/流さない,に注目するとスイッチの役割を果たす.

  • 増幅器

    蛇口の開け方によって水流が変わることを考えると,蛇口を開ける力(入力)を水流の力(出力)に変換していると見ることが出来る.一般に入力 ≦ 出力であり,小さな力で大きな力を制御する使用方法となる.

  • 可変抵抗

    蛇口の開け方によって水流が変わる,ということは,蛇口の開け方によって水がうける抵抗を変えていることになる.回路の場合,信号によって電流の流れる量を制御できる,ということは,信号によって電流が受ける抵抗を変えていることとみなすことができ,外部から見るとトランジスタが信号によって抵抗を変えることの出来る可変抵抗とみなすことができる.

FETの説明前に

トランジスタをある程度理解するために必要な知識について述べる.

正孔と電子とは

(古典物理からの見方)

  • 電子:原子核の周辺に存在するマイナスの電荷をもった粒子である.電流の流れる方向は電子の流れる逆となる.
  • 正孔:元来あるはずの場所に電子がない場合を考える.電子がある状態が通常だとすると,電子がない状態とはその場所に「あな(孔)」がありその電荷は「プラス(マイナスの状態を0・普通・基準とする場合の見方)」であると見ることができる.これをプラスの電荷をもった質量マイナスの粒子であると考え,正孔とする.電流の流れる方向は正孔の流れる方向と一致する.
electron, positive, current

図1 電流と電子・正孔の関係

FET

アバウトな動作原理

FETは(ソースを基準として)ゲートにかけた電圧でドレイン・ソース間の電流を制御する.ゲートにかけた電圧はゲートに電荷として溜まり,制御するための電圧となる.その電圧を生むためのゲート・ソース間電流およびドレイン・ソース間の電流を生むものとして,電荷の「キャリア」を考える.すると電荷の「キャリア」としては「正孔」と「電子」が考えられる.正孔をキャリアとするFETと電子をキャリアとするFETを考えることができ,それぞれp型FET,n型FET(名称ちょっと適当)と名づけることができる.

p型FETは正孔をキャリアとするので,ソースからドレインに電流がながれるFETである.また,ソースからゲートに向けて正孔が移動するので,ゲートの方が電位が低くなる.よって,ソースの電位を基準に考えた場合に,ゲート・ソース間電圧が0Vの時スイッチはOFF,ゲート・ソース間電圧が-Vgs(-5Vとか)Vの時スイッチがONとなる.

n型FETはその反対で,ドレインからソースへ電流が流れ,ゲート・ソース間電圧がVgs(+5Vとか)Vの時にスイッチがONとなる.

fet-outline

図2 FETの動作原理

MOS FETの図記号

MOS型のFETの図記号は以下のようになる.

mos-fet

図3 MOS-FETの図記号

FETの使用方法

MOS FETの基本的な使い方

基本的にはドレインに負荷をつなげる.

起動電圧(Vgs )の安定化のため?
how-to-use-mos-fet

図4 MOS-FETの基本的な使い方

MOS FETの基本的な回路

最も基本的な回路は以下となる.

  • R1はゲートに過度な電流が流れないように制限するものである.
  • R2は挙動の安定を図るものである.ゲートが接続されていなかったりすると静電気等で電荷を持つ場合がある.この場合,半ON状態になり動作が安定しない.また,信号先がマイコンなどで小電流しか扱えない場合,電圧を変更してもゲートから電荷が素早く移動しない.このとき,電荷の道となるためのもの.
how-to-use-mos-fet

図5 MOS-FETの基本的な回路

MOS FET使用時に決定する事項

Vgs(信号電圧)の決め方

スイッチとして使う場合にはFET自身が抵抗となってはいけない.そこで,スイッチがオンの時に電流が流れるだけ流れる,という特性が望ましい.そこでスイッチとして用いる場合,Vgsを高く設定し,オーム抵抗領域で使用する.

  • 2SJ334の場合には,Vgs=6V以上
    • データシートより -20 < Vgs< 20
ID-VDS

図6 ID-VDS

R1の決め方

とりあえず 5kΩ

R2の決め方

とりあえず 20kΩくらいで

放熱設計

とりあえずほっとく