当研究室で考える,知能研究の第一歩は自分なりの「知能」の定義を考え,明確にすることです.
それは,客観的な定義であり,他者に論理的に説明できる定義でなくてはいけません.考えた「知能」にあいまい性があり,時と場合と人により内容が変わってしまっては,「知能ロボット」を創ることが出来ず,また『創れた』と言い張っても誰もそれを評価できません.
また,その定義は短期的もしくは長期的にみて人類に(もしくは何かに)有益をもたらす定義であった方がよいです.それは,人に利益をもたらす技術をもたらす使命を持った「工学」の位置づけであると同時に,「そのような定義とすることで生まれる拘束力」が定義を考える手助けともなるからです.
これらをふまえて,当研究室では考える手掛かりとしてロボットの歴史を用います.これまで,「ロボット」とは人間にとってどのようなものであったのか?フィクション等によって,人間がもつ「ロボット」のイメージはどのようなものになっていったのか?今,どのようなイメージを私達は持ち,どのような「ロボット」であって欲しいと願っているのか?また機械としてのロボットはどのように発展してきたのか?各時代に応じてどのような要請があり,どのように答えてきたのか,そしてそれらの延長上として,今の時代にどのような要請がロボットにあり,どのように答えていくのか,を見ることができます.そこに,私達が欲している「知能」とはどのようなものか,と考えると,ひとつのヒントになると思っています.
このように,自分なりの「知能」を明確にイメージするところが研究の第一歩であると同時に,実はそれが最終ゴールでもあります.「知能」を知ること,そして「知能を知るための研究方法」を知ることが,当研究室でのテーマです.