三端子レギュレータ

三端子レギュレータとは

不定な入力電圧に対し,希望する電圧を出力する電子部品である. その名の通り,3つの端子を持ち.入力端子(IN),出力端子(OUT),グラウンド(GND)を持つものが一般的である.

基本的に,入力される電圧と出力すべき電圧の差を熱として消費(放出)することで動作する.その為,発熱量を計算し,適切な放熱対策を行う必要がある. また三端子レギュレータ自身の電圧降下分だけ入力電圧が出力電圧より高くなければならず,入出力電圧差を必要とする.

三端子レギュレータの種類としては,正電圧を出力するものと負電圧を出力するものがある.また出力電圧として,固定型(定電圧)と可変型(可変電圧)がある. 更に,入出力電圧差はは約1.5V(定電圧,素子による)~3.0V(可変電圧,素子による)以上必要であるが,これを1V以下に小さく出来る低損失レギュレータ(LDO)も存在する.ただし,入出力電圧差が小さいだけで,同じ電圧差で同じ電流が流れるならば損失は同じである.

定電圧の三端子レギュレータ

定電圧の三端子レギュレータは,正電圧の7800シリーズと負電圧の7900シリーズに大別される.正電圧は入出力電圧が正の電圧であり,負電圧は入出力電圧が負の電圧である.両者でIN/OUT/GNDの配列が異なり,また互換のある素子でも配列が異なる場合がある. 使用時にはデータシートなどで確認が必要である.

定電圧の場合,78(79)の後ろに出力電圧がつき,5V出力ならば7805,12V出力なら7812という型番となる.

一般的な回路

定電圧の三端子レギュレータを使用する場合の基本的な回路は図1のようになる. ここで,D1のダイオードは出力電圧が入力電圧より高くなることがなければ特に必要がない. また,電解コンデンサとセラミックコンデンサを使用するが,入出力に4つ必要ではなく,使い方によって必要な部分を選択し,容量を計算して用いる.

また回路図にはあらわれないが,使用状況を想定し,放熱対策を行う必要がある.

Basic use of 3 Terminal Regulator

図1 三端子レギュレータのための基本的な回路

セラミックコンデンサの容量決定

セラミックコンデンサは図1ではC1とC2に相当する. 内部回路の発振防止用であり,内部から発する高周波ノイズを除去するのに用いられる. こちらは三端子レギュレータのデータシートに推奨地が書いてある,かも?

電解コンデンサの容量決定

電解コンデンサは図1ではC3とC4に相当する. これらはリップルノイズ除去用(リップル:さざなみ,入出力電圧のゆれ)を押さえるものである. 入出力の電圧,およびAC-DCアダプターなどを用いている場合はその性能,出力につなげる負荷などによって計算される. 設置場所はレギュレータからある程度離れていても問題ない.

が,とりあえず面倒なので電池を入力として負荷がそんなにない場合,いらないんじゃない?

ダイオード

図1のダイオード(D1)は,入力電圧が出力電圧より低くなり電流の逆流(?)が起きて三端子レギュレータを壊さないための保護用である. 電源の入/切の瞬間や,出力に誘電性負荷を接続した場合などに起こりうる.

放熱対策

熱とはエネルギーであり,仕事をするものである. ここでは特に周囲の温度を上げる仕事をするものと考える.単位はジュール[J]で表される.

仕事は単位時間当たりの仕事量と仕事をした時間の積で表される. 単位時間当たりの仕事量は仕事率といい,回路の場合には電力Pとして以下の式で表される.

P = V x I [W]

これより,仕事 E は

E [J] = Pt [W・s]

で表される.抵抗などで消費される電力 P は熱として放出されるが,この熱量をQとすると

P = Q

で表される.時間tの間に放出される総熱量は Qt ( = Pt = E ) である.

ある物体に熱が発生し周囲の温度より高くなると熱の移動が起き,温度の平滑化が起きる. ここで熱の移動に対する抵抗(熱の移動のしにくさ)を熱抵抗θといい,次の式で表される.

θ[℃/W] = ΔT[℃] / Q[W]

ここでΔTは熱の受け渡しを行う物体間の温度差であり,Qは熱量である. この式から,熱抵抗とは1Wの熱量を放出するために必要な温度差であり,θが大きいほど 熱の移動が起こるために必要な温度差が必要であり,熱の移動が起こりにくくなる. 反対に,θが小さいほど熱の移動が起こりやすい.

以上より,三端子レギュレータの放熱計算を行う.

まず,三端子レギュレータで熱して放出されるQは仕事をしない分なので損失分の電力である. これをP LOSS とすると以下の式で表される.

P LOSS = V IN x I Q + ( V IN - V OUT ) x I OUT

第一項は,無効電力であり,入力とGNDを通して出て行く電流との積である.第二項は入出力の差と出力される電流の積で表される電力であり,これが熱として放出されることで希望する出力電圧を実現している.

次に,三端子レギュレータの温度をT j ,周囲の温度をT a 全体の熱抵抗をθとすると

θ=( T j - T a )/P LOSS

となる.ここで全体の熱抵抗は放熱板ありの場合は以下のようになる.

θ = θ jc + θ CH + θ HS

ここで,θ jc は三端子レギュレータと放熱板の間の熱抵抗,θ CH は三端子レギュレータと放熱板の間にかますグリス等の熱抵抗であり,θ HS は放熱板(と外界)の熱抵抗である. 放熱板なしの場合には,θ=θ ja であり,三端子レギュレータと外界の熱抵抗をそのまま用いる.

以上より,

θ jc + θ CH + θ HS = ( T j - T a )/P LOSS

P LOSS = V IN x I Q + ( V IN - V OUT ) x I OUT

である.これを使い,仕様を決定していく.例えば,放熱板の仕様( θ HS )を決定する場合, それ以外の変数を決めて計算を行えばよい.また放熱板を付けない場合であれば,T j を 計算し,最大定格温度(範囲)を超えていないことを確認することとなる.もしくは,最大定格温度を 超えない使い方( V IN , I OUT など)を決めることとなる.

因みに,放熱板に求められる熱抵抗が求まれば,それを満たす放熱板を探すことになる. 市販の放熱器の場合には,製造メーカーのデータシートをみて探す. 自分で金属板を加工する場合,素材ごとの特性を見ながら必要要件を探す. 一般的には,金属板の面積と熱抵抗のグラフを見つけることが出来る.そのグラフから 必要な金属板の厚さ,面積を割り出し,余裕を持った放熱板を用意する.